2009年3月2日月曜日

戦略:ドラフトのヒント集

これはJonathan Gangi氏が2004年3月20日にAt Home Plateというウェブサイトに投稿したファンタジーベースボールのドラフトにおける心構えを和訳したものです。(原文)

もう5年ほど前の情報ですので、登場する選手名などが非常に古く、今のMLBの選手層にはそぐわない点も多いですが、根本的な戦略自体の有用性は今も変わりありません。何故これを選んだのか自分でも途中で疑問に思い始めましたが、もう後に引けなくなって全て和訳してしまったのでひとまず載せておきます。

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ファンタジー・スポーツはまるで人生のようだ。知る必要のないような事まで知ることになるくせに、最も重要なことについては誰も教えてくれない。つまり、凄く一般的に"どうすればいいのか"ってことをね。僕はあなたがどんな人生を送ればいいのかについて教えることはできないが、今年のファンタジー・ベースボールのドラフトを迎えるに当たってのいくらかの戦略なら教えることができる。

【ドラフト前のヒント集】

1.調査、調査、調査

調査することは何事にも代え難い。選手の最新ニュースが載っているサイトを探しなさい。コラムを読みなさい。At Home Plateのドラフト・ガイド・レビューを読んで、どのドラフト・ガイドが一番あなたの役に立つかを決めなさい。そしてもう十分調査したと思うようになってきてからも、もう少し調査を続けなさい。きっとあなたは、まだ知らなかった何かを見つけることになるから。

2.スプリング・トレーニングでの成績を過剰評価しない

毎年数人の選手がどこからともなく現れてスプリング・トレーニングでとんでもない成績を残す。でもその好調さがレギュラー・シーズンにそのまま持ち越されることってのは、そうそうない。去年(*訳注:2003年)Mike Sweeneyはスプリング・トレーニングで7本のホームランを打った。これは彼が去年のシーズン全体で記録した16本の、ほとんど半分だ。Byun-Hyung Kimはスプリング・トレーニングで27イニング以上を投げた投手の中で防御率が一番低かった。これ以上続ける必要があるかい?誤解しないで欲しいけど、僕はスプリング・トレーニングの成績を全く持って無視しろと言ってるわけじゃない。可能性のあるSleeper(*訳注:Sleeperとは、過去の成績や、それに基づく現在の一般的な評価を大きく覆すような成績を来るシーズンに残す/残す可能性のある選手のことである。あるいは単純にドラフト価値が過小評価されているプレイヤーや知名度の低い選手のことを指すことも。言葉通り、眠れる巨人・眠れる獅子的なイメージ。)を見つけるのには役に立つ。例えば一つだけ例を挙げるとするならば、Carl Crawfordが昨年のスプリング・トレーニングでリーグ最高となる10盗塁を記録したのは誰がどう見たってシーズンで起こる事の予兆だった。まぁ、J.D.Drewが今年のスプリング・トレーニングで最初に5本塁打目を記録しても、彼をドラフト3順目で指名するようなことはするなよ、ってことだけさ。

3.リーグの設定をちゃんと理解する

あなたが所属するリーグのスコアリングカテゴリーは何?投手は何人起用させることが出来る?DHはある?これらはみんなドラフトの戦略を考えるに当たってとても重要な質問だ。例えば投手が一度に2人までしか起用できない設定になっていて、スコアリングカテゴリーの半分が投手のカテゴリーだったとしたら?そうなればもちろん、良い投手の価値が突然上昇して、ステロイドの使用履歴を隠すのに長けている強者達より上になるよね。

4.プレイヤーを階層分けする

それが確実なものかどうかという保証はどこにもないけれども、プレイヤーに自分なりのランクを付けていくというのは、ドラフトの下準備として必ず必要なことの一つだ。もしこのステップを飛ばしてしまうと、指名の順番が来たときにバッティンググローブが無い時のNomarのようにどうしたらいいのか分からなくなってしまう。選手をランク付けするときは、全体を通しての順位を付けるのに加えて、ポジションごとに階層分けをするのがいい。例えば遊撃手なら一番上の階層はA-Rodが一人で占有することになる。2番目の階層はNomar、Tejada、Renteria、そしておそらくJeterが入るだろう。ドラフトの時が来たら、この階層付けがきっと選手選択の助けになってくれる。例えばもしも自分の3巡目の指名番が来たときにまだ第2階層の遊撃手が全員残っていたとしたら、遊撃手の指名はもう一巡待っても大丈夫かもしれないという判断が付く。そうなればこの巡目では他のポジションで最高の階層の選手を獲得して、4巡目や5巡目で遊撃手の第2階層にいる選手を獲得することができる可能性があるだろう。

5.ドラフトの戦略を考え出す

もしかしたらあなたは奪三振と勝利数を犠牲にして防御率とWHIPで上位を目指すかもしれない。盗塁を犠牲にして本塁打に集中するっていうこともあるだろう。打者に集中して投手の指名を遅らせたり、あるいはポジションは後から考えることにして、とにかく残っている選手の中でベストなプレイヤーを選択していくっていう考え方もある。どんな戦略を取るにしても、明確な方針を持っているというのはとても大切なことだ。そうじゃなければドラフト当日にブレア・ウィッチ・プロジェクトの登場人物のようにどうしたらいいのかわからなくなってしまう。

【一般的なヒント集】

1.Sleeperを早すぎる順位で獲得するな

おそらくどんなファンタジースポーツにおいても一番痛快な要素というのは砂利の山の中からFantasy Stud(Stud=種牡馬。競走馬で言うなら種牡馬になるくらい活躍する凄い奴、が元々の由来)と呼ばれる貴重な宝石を見出すことだろう。だからSleeperを他の誰よりも早く指名しようと不安になりすぎてしまう気持ちもよく理解できる。でもね、あなたは打席でのNick Johnsonのように辛抱強くならないといけないんだ。良いSleeperを獲得するそもそものメリットとは、他のチームがガラクタを指名しているような順位でスター選手の卵を獲得できるということにあるんだということを忘れてはいけない。もしもSleeperを早い順位で指名してしまったら、それはもう掘出し物とは呼べなくなってしまう。

どの辺りでSleeperを指名するのがいいのかというのは難しい問題だ。基本的なルールとしては、自分が考えるその選手の隠された本来の実力によるランクと、実際に他のチームに獲得されてしまうだろうと考えるランクの、2つの間のどこかで指名をすることだ。理想を言えば、他のチームに獲得されてしまう寸前に獲得したいところである。もしもあなたが指名したあとに他のチームのマネージャーが「俺が次に獲得しようと思ってたのに!この馬鹿!」って言ってきたら、正しい順位で獲得が出来たことの何よりの証明になる。

2.リスクを減らせ

ファンタジーベースボールはエクストリーム・スポーツではない。自分がどれだけクレイジーかを証明する場ではないのだ。もしそういう場だったとしたら、Gary Sheffield、Pedro Martinez、Kevin BrownとKen Griffeyを最初の4巡を使って獲得することもあるだろう。そしてもしも彼らが健康で、今年が彼らのキャリアを代表するような年になるんだとしたら、とんでもない見返りがあるというのもまた事実だ。でも、それよりもっと現実性の高いシナリオは、Griffeyは最初の週に今季絶望となる怪我をして、Brownは肩を負傷し、Pedroは僕の妻がダンキンドーナツにキャラメルラテを買いに行く回数より多くDLに入り、あなたは口うるさい同じリーグの仲間たちから延々と嘲笑の的となるシーズンに苦しめられることとなるだろう。リスクを取ることが高く評価されるこの時代にあってしても、ファンタジーリーグにおいては最高の知識に基いた保守的な戦略こそが優勝への近道となる。良いマネージャーというのはまず安全策から入って、ドラフト後半で質の高いプレイヤーを獲得することによって他のチームとの差を付けていく。それを考慮すれば、とりわけドラフト最初の数巡においては可能な限り不確定要素を無くすというのが目標になるだろう。不確定要素とはつまり、怪我が多い選手・一発屋の可能性がある選手・なんか痩せてきた一流強打者などだ。もう少し詳しく説明していこう。

・怪我が多い選手

これはもう単純明快だ。上に挙げた4人の他にはRandy Johnson、Juan Gonzalez、Mike Lowell、Luis GonzalezやJason Schmidtなんかがこれにあたる。

・一発屋の可能性がある選手

これは基本的に昨シーズンにキャリアを代表するような好成績を残した選手を指している。1シーズンだけ凄い成績を残して後は藻屑と消えていってしまった投手は山ほどいる。Jose Lima、Rich Aurilia、Jarrod Washburn、Pokey Reese、Jose Offermanなんかはその中のほんの一握りだ。だからキャリアで初めて良い成績を残したというような選手には疑い深くなった方がいい。特にキャリアの通産成績が大したことないようなベテラン選手にはね。Bill Mueller、Todd Walker、Javy Lopezなんかはまさにこれに当てはまる。ただ一発屋の可能性がある選手と、爆発の可能性を秘めた選手を混同してはいけない。後者はまだ若くてこれから全盛期を迎える選手で、例えばMarcus Giles、David Ortiz、Angel Berroaなどのことだ。

・なんか痩せてきた一流強打者

なんか痩せてきた一流強打者ってのはつまり、一体全体どんな理由があるのかは僕には全く何の見当も付かないんだけれども、キャリアの半ばであるとき突然筋肉が爆発的について凄い成績を残したのに、最近なんか痩せてきた打者達のことだ。え、Jason Giambiの名前なんて全く出していないのに、あなたの心の中に浮かんできたのかい?恥を知りなさい!人間誰だって罪が明るみに出るまでは無罪なんだ。 ・・もちろん冗談だよ。そんな法的な考えとかはどうでもいいんだけど、とにかくあなたは自分のファンタジーチームのことを心配する必要がある。上位指名をした強打者の本塁打数がOld Man of the Mountainよりも豪快に落下するなんてのは、絶対に起こって欲しくないことの代表例だ。(*Old Man of the Mountainは断崖絶壁の上から突き出ていた老人の顔の形をした有名な岩。2003年5月3日に落下した)

【ドラフト当日のヒント集】

ドラフト上位におけるヒント

1.安全策を取れ

「ドラフト上位指名の結果だけでリーグを勝つことは出来ないけれど、負けることは出来る」ってのはよく言われることだ。だからこの上位指名の枠は毎年毎年好成績を残す信頼できる選手達に使いたい。A-Rod、Pujols、Beltran、Thome、Ramirez、OrdonezやHeltonとかにね。魅力的なのは分かるけど、Randy JohnsonやPedro Martinezに使うべきではない。もっと言えば、先発投手には「?」マークがつきものなので、ドラフト中盤に入るまでは投手は全く指名しないことを僕はお勧めする。Beckett、Oswalt、Buehrle、SantanaやMillwoodといった中盤で獲得できる投手達が、上位指名しないと手に入らないような投手達より良い成績を残す可能性は十二分にあるからだ。ステロイドの可能性があるSosaやBonds、後半失速したSorianoなんかも個人的には怖い。

2.Sleeperを用意していないポジションを獲れ

後で良い選手を獲得できるかどうかわからないポジションを最初の方に埋めていくというのは賢明な作戦だ。もし外野手のSleeperはたくさん見つけたのに三塁手では全くいないという場合は、Scott RolenやEric Chavezを早めの順位で獲得したくなることだろう。

3.ポジションの層の厚さを考慮しろ

一塁手や外野手は、スポーツショーのキャスターが「私はずっと前から目を付けていたのですが・・・」というくだりを使うのと同じくらいありふれているけれど、二塁手・遊撃手・三塁手はボストン在住のジョージ・スタインブレナーファンの数と同じくらい少ない。そういった層の薄いポジションを埋めていくというのは優先事項の一つだ。だからもしあなたがNomarかHeltonのどちらかを獲得できるという状況になったとしたら、Heltonの方が良いプレイヤーではあるけれども、ポジションの薄さを考慮してNomarを獲るべきなんだ。

ドラフト中盤におけるヒント

1.層の薄いポジションを補強せよ

もしまだ二塁手・三塁手・遊撃手を獲得していないのだとしたら、Junior Spiveyを毎日出場させることになる前に誰かを獲得しておいた方がいい。

2.指名漏れ選手に目を光らせよ

上位指名に値する選手がなぜかドラフト上位で選択されないという状況は毎年出てくる。3巡目で指名されるべき選手を6巡目で獲得できるようなチャンスがもしもあったとしたら、それを逃してはならない。今季このカテゴリーに入りそうな選手としてはBrian Giles、Curt Schilling、Bobby Abreu、Lance Berkmanなどだろう。

ドラフト終盤におけるヒント

1.Sleeper狂想曲

もしスターに化ける可能性を秘めた選手と、毎年毎年平均より少し上の成績を安定して残す選手のどちらかを獲得できるとしたら、僕は毎回スターの可能性を秘めた方を獲る。Roberto Alomarのような平均よりほんの少し上の成績を残す選手なんて、未所属選手の山の中からいつだって簡単に見つけることができるからだ。それなら可能性に賭けた方がいいとは思わないかい?だから僕はいつもドラフト終盤は誰しもがSleeper獲得にやっきになるべきだと言ってるんだ。Juan Gonzalez、Junior Griffey、Matt LeCroy、Craig Wilson、Joe Mauer、Mike HamptonやRick Ankielとかね。(わかったわかった、Ankielはないかもな)

2.弱いところを補強せよ

おそらくあなたが所属しているリーグの設定では、全てのポジションに控え選手を置けるだけのベンチ枠なんて用意されていないことだろう。だからドラフト終盤では層の薄いポジションや、怪我の可能性のある選手を獲っているポジションを補強したくなるのが当然だ。例えばあなたのチームの遊撃手がJimmy Rollinsなら、保険としてAlex Cintronを獲っておくのがいいかもしれない。


それじゃあ、ドラフト当日の幸運を祈ってるよ!

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